恋愛発祥の地と呼ばれるフランス
恋愛発祥の地にして恋愛先進国ともうたわれるフランス。その恋愛観は日本人のオトナの恋愛を考えるうえでもとても参考になるのです。
「恋愛」という言葉が今日の意味で辞書に登場したのは明治20年のこと。フランス語の「amour(アムール)」の訳語として「恋愛」が充てられたのが最初と言われています。
つまり、「恋愛」はフランスから入ってきた文化とも言えます。
窮屈な日本人の恋愛
日本って、恋愛や結婚の年齢を気にしすぎじゃないですか?テレビとかメディアを見ても、若いほうがいいみたいなメッセージがたくさん流れてきます。
日本では、仕事で忙しくて会えないとかよく言いますよね?フランスでは仕事を理由にそういうことはあまり言わないです。何も言わなくても、恋人同士なら会う時間は作るのが当たり前のことです。
日本の場合は、恋愛の先には結婚というゴールを見据えます。「仕事は何?」「貯金は?」「家事をやってくれる?」など、お互いに値踏みをするものではないでしょうか。
世間ではいまだに、結婚を目標としない恋愛は認めないという考えが多勢ではないでしょうか。でも、そうした認識が大人の恋愛を非常に不自由にしているようにも思うのです。
「家族形成のための調査」という意識調査があるんですが、最新の結果で一番ショックだったのは、若い世代が「結婚には犠牲がつきものである」にみんなマルをしていることでした。結婚する人口が増えないのも当たり前ですよね。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
日本では、2016年ごろから有名人の不倫に対するバッシングが相次いでいる。
フランス人の恋愛は・・・「自由」!
「自由、平等、友愛」を標語に掲げるフランス。日本人にとっては、様々なものにオープンな感覚を持っている自由の国というイメージですが、恋愛に関しても日本とはだいぶ違う恋愛観を持っているのではないでしょうか?
フランス映画には、恋愛をテーマにしている作品がたくさんありますが、フランス人の恋愛好きは、なにも映画の世界だけではありません。若者から年配のマダムやムッシューまでみんなが楽しむ「恋愛大国」だといえるでしょう。
フランス革命後200年をかけて練り上げられた、「自由=やりたい放題」ではなく、「自由=他者への責任や連帯の義務を伴う」という考えを土台にした、民主主義的な枠組みがあるように思える。
「結婚」にとらわれないフランス人
日本国内では「結婚=ゴールイン」と捉えている人が多いと思いますが、フランスではそういった考え方が当てはまらないと申しましょうか、結婚がゴールインというわけではないようです。
出典 | 婚活あるある
フランスでは結婚しないカップルも多いです。結構それは当たり前のこと。子どもができたらするというけど、事実婚というのも多いですよね
結婚制度そのものの違いはあれど、個人の役割や二人の関係性が大事なのであって、形式にこだわらないというのはいかにもフランス的な考え方です。
フランスの場合には、「結婚する」という意識は高くありません。理由は2つあります。ひとつ目は、結婚という形を採らないカップルにも結婚している人と同じく手厚い社会保障が受けられるからです。
ふたつ目は、女性も仕事を持っているのが普通で、一般に専業主婦になるという考え方がないからです。子育てでは、保育園から大学までほぼ無料ですし、「児童手当」も日本よりも手厚い金額を受け取れます。
事実婚(同棲)や『PACS (パックス)』という形も
フランスのカップルが共同生活を送る場合、日本の法律婚とほぼ同じ結婚(マリアージュ)、日本の事実婚に近いパックス(連帯市民協約)、そして同棲(ユニオンリーブル)のいずれかを選びます。
“PACS”(パックス)という形もあります。民事連帯契約のこと。異性、または同性カップルが婚姻よりは規制が緩く、でも事実婚(つまりは同棲)よりももっと法的権利があるというもの。
もともとフランスでは、婚姻や離婚に関する法律的な条件が日本などに比較すると厳しい。そこで、このような制度が要請されたと思われる。
パックスは契約書1枚のみで成立し、税金・社会保障面において結婚とほぼ同等とされています。パックスの解消も書類1枚で済むうえに、双方の合意は必要ありません(どちらか一方に解消の意思があればOK)。
PACSはもともと、同性カップルに結婚を認めないため、代替案として作られた制度です。が、今ではその95%以上が異性間の契約となっています。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
本人たちが自分たちのスタイルに合わせて“かたち”を選ぶ。事実婚やパックスを経て、結婚する友人たちもいます。
日本ではまだ大多数の夫婦が法律婚を選択しています。「正式に結婚してこそ一人前」という価値観が根強く、また法律婚は相続・子どもの権利などに関して事実婚より優遇されている点が多いためでしょう。
嫡出子、非嫡出子の区別もなし
非嫡出子(ひちゃくしゅつし)とは、法律上で婚姻関係を結んでいない男女の間に生まれた子供のことを指します。一方、婚姻関係を結んでいる夫婦の間に生まれた子供を嫡出子といいます
フランスでは嫡出子と非嫡出子の区別は廃止されている。
フランスでは1972年より、嫡出子・非嫡出子の区別なく、「いかなる生まれでも子は同等の権利を有すること」が法制化された。子が生まれて育つことに、親の結婚は関係ない、とされたのだ。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
婚外子は1980年代から急増し、1997年には約40%、2017年には約60%となっている。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
どんな親から生まれても、子には同等の権利がある。そこから、フランスの子育て支援策は「子ども」を軸に制度設計されている。親が失業者でも移民でも、子が受けられる支援は変わらない。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
日本の法律には、『子どもは結婚した夫婦から生まれるもの』という前提があります。そのため、未婚の親から生まれた子を持つ世帯では、補助や公的支援を受けるのに、より煩雑な手続きを踏む必要がある。結果として、婚外子は不利益を受けてしまいます。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
日本の支援策は、親を軸とした制度設計だ。「日本とは発想が逆なんですね...」と、両氏は感慨深げに頷く。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
子は親を選べませんからね。親の選択がどんなものであれ、それが子の人生に悪影響を及ぼすことは、最大限防ぐべきなんです
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
多少の「遊び」も恋愛のうち
アメリカのシンクタンク、ピュー研究所による2014年の統計では、フランス人の53パーセントがパートナーの不倫を許すと答えている。
事実として、フランスは世界で最も不倫に寛容な国である。
2001年からは「生まれてきた子どもに罪はない」として、不倫関係から生まれた子どもも嫡子と同じ権利をもつことになり、これを機会に不倫につきものの暗い影はなくなった
サルコジ元大統領も不倫の果てに妻と別れて結婚しましたが、そのお相手も既婚者。ですが、やっと結婚できたその二人目の妻はやがて別の男性とニューヨークへ駆け落ちしてしまいました。
ずいぶん前にミッテラン元大統領にも隠し子が発覚したことがありますが、このときは、反対に暴露した週刊誌の方が「プライベートに立ち入ってけしからん!」と世論からお叱りを受けたほどでした
歴代大統領の恋愛スキャンダルは以前にも数多くあったが、その報道姿勢はあくまで控えめ。フランスでは1970年以来、個人の恋愛関係と性的指向は民法第9条によってプライバシーとして守られており、それを暴くメディアのほうが責められるべき立場にある。
カップルの半数は事実婚だが、結婚であろうと事実婚であろうと、「人の心は移ろうもの」という認識が社会全体に浸透しているように思える。こうした考え方をするのは、カップルの流動性が高いからかもしれない。
結婚とは制度化された「関係」にすぎず、すべての恋愛は「不倫」であった歴史が影響しているのだ。
昨今の日本と異なり成熟しています。
自由な雰囲気と手厚い支援で、出生率でも「先進国」
2017年、フランスは先進国の中でも高い合計特殊出生率1.88を示した。その6割が、結婚していない親からの出生。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
以前は日本と同じように少子化に悩んでいた、フランスの合計特殊出生率は2014年のOECDデータで1.98となっており日本の1.42と大きな開きがでている。
出生は日本の1000人中7.8人に対して、フランスは12人!
フランスは結婚率が低く出生率が高い国と言えます。それは、上記のように結婚だけじゃない家族の形があるからなんですね。
1994年にフランスの出生率が戦後最低の1.66まで下がったとき、「じゃあどうすればいいのか?」いうことを国が冷静に見つめて調べたんです。そうしたら、女性の就業率が上がっている一方で、子供の数が増えるほど、母親の離職率が上がることがわかった。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
日本だったら多分それは「認めてはいけないこと」とされるかもしれませんが、フランスは潔かった。「このままでは、女性たちは育児と仕事を両立できない」という現状を認めたんです。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
本書『フランスはどう少子化を克服したか』の内容を俯瞰するために、まずは「5つの新発想」を列挙させていただきたい。
1. 男を2週間で父親にする
2. 子供は「お腹を痛めて」産まなくてもいい
3. 保育園には、連絡帳も運動会もない
4. ベビーシッターの進化形「母親アシスタント」
5. 3歳からは全員、学校に行く
2002年に、3日間の出産有給休暇に続く11日間の父親休暇を制度として導入し、この父母間「子育てデバイド」の解消を図ったのである。ここに気づくなんて凄いぞ、フランス人!父親の育児スキルが上がれば、子育ては格段に楽になる。
3日間の出産有休は雇用主負担ですが、11日連続の「子供の受け入れ及び父親休暇」は、給与明細上では無給休暇扱い。が、それが実質的に有給休暇になるように、国の社会保険から休暇中の所得分が支給される仕組みになっています
子育てでは、保育園から大学までほぼ無料ですし、「児童手当」も日本よりも手厚い金額を受け取れます。結婚に頼らなくても、女性が1人でも子どもを育てていける体制が整っているわけです。
このため女性は自立している人が多く、妊娠も出産も自分の気持ち次第で決めることができます。一言付け加えますと、社会保障が手厚い分、フランスの税金や社会保険料ははるかに日本より高く支払わなければなりません。
日本では「我慢が当たり前」という風潮があって「子供のための我慢」も当たり前のものとされる。
出典 孤帆の遠影碧空に尽き
「良妻賢母」像を押し付け、我慢を強いるような社会では出生率は増えないということです。
子供を持つことのマイナス面を認め、それを「補償」する制度が必要になります。出典 孤帆の遠影碧空に尽き
魅力的なフランスの人々
フランスで生活をしていると、多くのフランス人は自分、そして他者を尊重することが上手だと感じる。そして、それこそが彼らを「自信」があるように見せているようだ。
「日本人は女性が恋愛に積極的じゃない気がします。性格にもよると思いますが、私が日本人の女友達に恋愛の話をすると『すごく積極的で、男性っぽいよね』って驚かれるんです。でもフランス人の友人に言ったら全く驚きませんよ、いたって普通のこと。恋愛なんて積極的にいかないとダメじゃないですか(笑)」
待ってるだけじゃわからないから、女性でも積極的にアピールしていくというのはフランスでは普通のこと。「待つのが美徳」という考え方もありますが、チャンスをつかむには自分から積極的にいってみることも大事です。
フランスではカップルとしての関係を維持するために、子どもがいようが、高齢であろうが、女性、あるいは男性としての魅力を失うことはNG。日本のようにお互いをパパ、ママと呼び合うことはなく、常に男女の関係が続いていきます。
いくつになっても恋愛に積極的に、そしてその相手を大事にする、これこそ一番の若さの秘訣と言えるのではないでしょうか。
フランスのような先進的な社会を目指して
日本では事実婚では世間体が悪い
ということではないでしょうか?
そこで、夏木マリさんの登場となります。
女優の夏木マリがなんと、ご自身の長年の事実婚を「フランス婚」と表現
この新しい言葉は、暗いイメージを払拭したかのようです。
現在では、入籍にとらわれない、自由な体系の家族体系と言うポジティブなとらえ方をする人達も多くなりました。
実際、自由な体系の家族でいいんですよ!!
自分が生きやすい環境を保つことも大切です。
少子化、高齢化、長時間労働、女性活用……働き方革命が叫ばれ、日本でも制度は整いつつある。しかし、それだけでは足りない。多くの人が、胸を張って制度を利用できる風土になったとき、はじめて機能しているといえるのではないだろうか。
日本ではまだまだ女性が人生の中で大きな選択を迫られることが多くあります
フランス人の友人に言われました。
「結婚も仕事も出産も…全部自分がやろうと思えばできるのよ!!」そんな風に言い切れる社会になったら…女性たちは欲張りになって、大きな一歩を踏み出せる気がします。
「でも、それは国民の力で“制度”を勝ち取ってきたから、というのも大きいかもしれませんね。日本は自分のことより、グループが上手くことを優先するという”和“を重んじる習慣がある。もちろん、みんなの幸せを願うことは大切で素晴らしい感覚です。けれど、個人が幸せにならなければみんなの幸せなんて訪れないですよね。もっと自分を大切に、わがままになってもいいと思います」
家族の形は十人十色。そんな文化を知って、私は自由なフランスをさらに好きになりました。皆さんはどう思いますか?
こちらもオススメ
参考リンク
結婚・PACS・事実婚…フランスのカップルの自由なかたち | FRANCE 365:最新のフランス旅行情報・現地情報
“同棲”以上 “結婚”未満の新しい形 「PACS」がフランスで人気なワケ【中村江里子】 - FNN.jpプライムオンライン
最近増えている事実婚とは? 事実婚のメリット・デメリット | メオトーク | 夫婦に、ちょっぴりイイ話!
フランスはどうやって少子化を克服したのか | 今週のHONZ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
フランス人ハーフ女性が日本人の恋愛感でショックを受けた10の理由 - LIVE JAPAN (日本の旅行・観光・体験ガイド)
フランス人から見た日本人の恋愛事情は、なぜ不自由に映るのか | ライフスタイル | LEON レオン オフィシャルWebサイト
出生率回復の「お手本」フランスの事情 その仏でも近年低下が続く 将来の東アジアは労働力獲得競争 - 孤帆の遠影碧空に尽き
なぜフランス人は世界一「不倫」に寛容なのか?その驚きの実態 | Smart FLASH[光文社週刊誌]
他人の不倫に大騒ぎする日本人への冷めた目線 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
不倫を「モラル」で断罪しないフランス人心理 | 恋愛・結婚 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
恋愛大国・フランス、「結婚」も「不倫」も日本人とはここまで違う(横川 由理) | マネー現代 | 講談社(1/4)
【やまとなでしこ世界で恋をする】日本とは違いすぎる!度肝を抜くほど恋を謳歌するフランスの恋愛文化 | 恋愛あるある
ほんとはPACSより簡単ですごい日本の「事実婚」(フランス婚)!
非嫡出子とは|嫡出子との違いと相続する際のデメリット|相続弁護士ナビ
フランス人の自信の秘密は「性教育」にあった!? 実際に授業へ潜入してみた | ワールド | for WOMAN | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト